茶室「鈴松庵」 |
その頃私は、建労の技対部長を引き受け、技術研修先に、茶室と法隆寺見学を決めていました。茶室「鈴松庵」は、椿神社境内にある松下幸之助氏寄進の茶室です。
素朴で簡素な建物ですが、バランスの良さ、素材と技術の凄さ、全てが驚きの連続でした。
幼少の頃、近くの山にて草木を集め、それぞれが自分の隠れ家を造り楽しんだ、そんな記憶が蘇り、不思議な感覚でした。私が想い描いていた以上の建物にて、衝撃を受けた時でした。戦国武将達が、茶の湯で勤しむ気持ちが伝わって来た様な気さえしました。
その後は、茶室建築に更なる憧れを抱き、多くの書物を買い集め、中でも数寄屋建築大工中村外二氏手掛ける茶室建築の虜になり、心奪われてしまいました。
そんな矢先、伊勢にて本格茶室を建てる話を聞き、どの様な形でも関わりたいと願っていました。それが何とご縁をいただき実現することができました。
凄く強い想いを持っていると不思議と夢が近づく…コロの恩返しか…そんな憧れが現実となった有難い平成初期の出来事です。
たなか建築 田中吉博
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